お気楽♪こどもとわんことアウトドア資料館

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栗本薫氏逝去

昨日、熱でうなされながらパソコンをチラ見していた私に飛び込んできたニュース。
それは栗本薫さんがすい臓がんの為、亡くなったというニュースでした。


以下、ネタバレを含みます。





昔の私は大層な栗本薫ファンで、
今でも本棚で一番の場所を占めているのが彼女の本。
もちろん、グインサーガもほとんどあります。

無類のSF・ファンタジーマニアだった中学校時代、
本屋でふとみかけたグインサーガ
その頃12巻くらいまで出ていたと思うが、
少ない中学生のお小遣いから買いそろえ、
その後はずっとリアルタイムで読み続けてきた。

多彩なキャラクターと饒舌な文体でつづられる
血湧き肉躍るアクションの数々と、
まるで目の前に見えるかのような様々な国々の風土や
湯気の立つ様と香りが漂ってきそうな料理の品々。
時に陰謀渦巻く宮廷劇だったり、
蹄の音の聞こえる三国志だったり
リリカルな叙情詩のような切ない一章だったり。

そのキャラクター達は私の中で間違いなく生きていて、
今頃はむこうで何が起こっているのだろうと、
何ヶ月かに一度届く便りが待ち遠しく、
早くその日にならないかとそれだけが楽しみだった。

かつてはパティオにもいたことがあり、
先生にレスを頂いたこともあります。
実は同人誌でご一緒したこともあります。
そして、一度だけ実際にご挨拶をしたことがあります。
予想通り、饒舌で才芳しくパワフルな方でした。

それがあたしが一番、栗本先生の近くにいたとき。


いつしか、時は流れ、
私にも現実が大きくなり、
そしてグインサーガは変容していく。
饒舌な文体はくどいほどの繰り返しに。
キャラクターの個性は物語によって曲げられ、
どこの国も人材が減ってまるで何人かずつしかいないかのよう。
一巻かかって少しも話がすすまなくなり、
矛盾とつじつまあわせが激しくなり、
100巻で完結する筈が、どんどん伸びて終わりの見えないことに。

でも読んでました。ちゃんと買ってましたよ。
いつか豹頭王の花嫁の姿を見るまでは、
絶対買い続けるつもりだったし、
なんだかんだといって、新刊を心待ちにしていました。
たとえ、話がすすまなくても。
たとえ、人物が変容しても。
たとえ、その日がいつになっても。
私は栗本薫グインサーガを愛していたから。

彼女のHPやあちこちのファンサイト、2ちゃんねるなども読んでいたので、
いつかこの日がくるだろうとは思っていました。
実はかなり近いのかもとも思ってはいました。
けど、やっぱり早すぎるよ。

いつものようにしゃらっと、
「体調はいまひとつなんですけども、また今日も20枚書いてしまって、
ほんとうに、いったいどこまでつづくんでしょうかねえ(笑)
このままガンくんたちと共存しながらかきつづけて300巻越えたら、
本当に人間のできることを越えてしまってる感じがしますねえ(爆)」
かなんか言いながら、ずっとずっと続いて欲しかった。

途中で路線変更してまとめにはいってくれれば、
とりあえず完結はできたかもしれない。
けど、栗本薫グインサーガだもの。
ずっとずっと続けられる話が書きたかったんでしょう。
だから、その選択も仕方無いかなと思います。
読者に出来る選択は、読みたくなくなったら読まないということだけ。
でもお金払って楽しみによんでたもん。
ちょっとくらい文句いってもいいよね?先生。

先生、どうしていなくなっちゃったの?
まだ知りたいことが沢山あったのよ。

イシュトとリンダはどうなるの?
ヨナはまだヤガにつかないの?
ヒゲを落としたスカールの活躍は?
マリウスはまたパロを捨てていつ旅立つの?
ヴァレリウスが修行に戻れるのはいつ?
あたしお気に入りのさすらってるリギアは幸せになれるの?
レムスはきっと中興の祖にもどれるよね?
マリニアの美しく大きくなった姿が見たかった。
スーティのりりしい姿とドリアンの麗しい姿も。
そしてシリウスはどんな風に育つの?

そしてグインの花嫁は誰なの?

先生、だめだよ。全部を持ったままいなくなっちゃ…
まだ早い。まだ早いよ。

やっと30年じゃない。
まだあと100巻くらいないと、そこまで進まないんでしょ。
それで終わったら後伝もかく予定なんでしょ。
アニメだってはじまったばっかりで、
ナリス様の活躍だってこれからじゃない。
今年は30周年で、先生の好きなお祭りがたくさんあるよ。
なんでいなくなっちゃったのよ。

伊集院さんはどうなるの?
魔界水滸伝だって途中じゃない。
ぼくらの薫くんはどうなったの?

先生!もっともっと読みたかったよ!!
まだまだ終わらない物語を紡いでいくはずだったのに。
先生、早いよ…早すぎるよ!!









たぶん、一人の作家がなくなって、
こんなに慟哭するのは最初で最後かも。

栗本薫はあたしの青春だった。
グインサーガはたとえどうなっても、
あたしにとってもライフワークだった。

未完の大作に、もしこの後継承者が現れても、
あたしにとってのグインサーガはここでおしまい。

30年間。どうもありがとう。
彼らの国を教えてくれてありがとう。
異世界とは思えないほど、近くにあるような気がして、
そこへの扉はあとは永遠に開かないけど、
きっと、彼らは彼らの人生を歩んでるのよね。


お疲れ様でした。
もう痛みも辛さも何もないところにいったんですね。
きっとそこでまたバリバリと書いてるんでしょうね。
できたら、パソコンじゃなくて、愛用の机と鉛筆で、
また次々と新作書いて欲しいなぁ。
校正なくてもいいから「ママイキ」のままでいいから。
あたしが、そちらに行くことになったら、
また読ませて下さい。リギアとマリウスご贔屓の玖美です。
リギアさん、幸せにしてくれなきゃダメですよ。先生!!
マリウスくんには最後まで生き残ってサーガを紡いでもらわなきゃ!!
先生、新作楽しみにしてますよ!!



栗本薫先生のご冥福を心からお祈り致します。
本当にありがとうございました。